症状から食事を見直す

犬の下痢・軟便と食事|原因の見分け方から、受診の目安・フードの見直しまで

最終更新:2026年6月12日
犬の下痢・軟便と食事|原因の見分け方から、受診の目安・フードの見直しまでのイメージ

うんちがやわらかい、水のような下痢が出た——犬と暮らしていると、便のトラブルは珍しくありません。多くは一過性で、食事の与え方を少し見直すうちに落ち着くこともあります。一方で、下痢は体のさまざまな不調のサインとして現れるため、「食事で様子を見てよいとき」と「すぐ受診したほうがよいとき」を見分けることが何より大切です。

このページでは、まず下痢の考えられる原因と便の見方を整理し、受診の目安を示したうえで、落ち着いてきたあとのフードの見直し方を一般的な目安としてご案内します。なお、ここでの内容は一般的な情報であり、診断や治療に代わるものではありません。

下痢・軟便の主な原因

ひとくちに下痢といっても、背景はさまざまです。日常の中で起きやすいものから、受診で確かめたほうがよいものまで、よく挙げられる原因を一般的なものとして整理します。

  • 急な食事の変化:フードを切り替えた、新しいおやつをあげた——胃腸が慣れず一時的にゆるくなることがあります
  • 食べ過ぎ・拾い食い:量が多い、消化に合わないものを口にした
  • 冷え・ストレス:気温の変化、引っ越しやお留守番など環境の変化
  • 体質・食物の不耐性:特定の原材料が合わない
  • 感染症・寄生虫:とくに子犬や、他の犬との接触後
  • 誤食・中毒:人の食べもの(玉ねぎ・チョコレートなど)や異物
  • おなかや全身の病気のサイン:消化器の不調や、ほかの臓器の病気にともなうこともあります

一過性のものなら食事の工夫で落ち着くこともありますが、原因は見た目だけでは分かりません。続く・くり返す・元気がないときは、食事で様子を見続けず、受診で原因を確かめるのが安心です。

便と全身の様子を確認する

対応の急ぎ度は、便そのものより「全身の様子」で大きく変わります。次の点を観察しておくと、受診の判断や、獣医師に伝えるときの手がかりになります。

水飲みボウルのそばで、犬の様子を見守る飼い主のイラスト
便の状態だけでなく、元気・食欲・水を飲んでいるかを見ておくと、判断の手がかりになります。

便の色・状態の手がかり

便の色や状態は、おなかの中で何が起きているかのヒントになることがあります。あくまで一般的な目安で、色だけで原因を決めつけることはできませんが、気づいたら受診時に伝えると役立ちます。

便の様子一般に考えられること目安
黄色っぽい・やわらかい消化が速いときなどに見られることがある元気があれば経過観察、続くなら相談
緑っぽい草を食べた・腸の動きが速いときなど単発で元気なら様子見
赤い血が混じる・鮮血大腸など下部への刺激のことがある量が多い・続くなら受診
黒くタール状上部消化管からの出血の可能性早めに受診(注意したい便)
白っぽい・脂っぽくテカる消化・吸収がうまくいっていないことがある続くなら受診時に相談

回数と、続いている時間

一度きりで元気もあるのか、何度もくり返しているのか。下痢が24時間以上続いているか、また数日でおさまらず2〜3週間以上に及ぶ(慢性)かどうかは、受診を考える目安になります。慢性の下痢は、食事だけでなく背景の確認が必要なことが多いとされます。

元気・食欲・水を飲んでいるか

便の状態以上に大切なのが全身の様子です。元気があって水も飲み、食欲も保たれているなら、ひとまず食事の調整で様子を見られることが多い一方、ぐったりしている・水も飲まないといった様子があれば、急ぎ受診を検討します。

こんなときは動物病院へ

下痢は食事だけが原因とは限りません。次のような様子があるときは、フードの見直しで様子を見るより、動物病院への受診をおすすめします。判断に迷うときも、まずはかかりつけの獣医師にご相談ください。

  • 嘔吐や下痢が24時間以上続いている
  • 大量の血便、または黒くタール状の便が出る
  • 何度もくり返し吐く、吐いたものに血が混じる
  • 首の皮膚の戻りが遅い・目が落ちくぼむなど、脱水のサインがある
  • 元気がなくぐったりしている(とくに子犬・老犬・小型犬)
  • 下痢が2〜3週間以上続く、または良くなったり悪くなったりをくり返す
  • チョコレート・キシリトール・ぶどう・玉ねぎなど、中毒のおそれがあるものを口にした可能性がある

とくに子犬は、食事が抜けたり下痢が続いたりすると体力を消耗しやすく、超小型犬では低血糖を起こすこともあります。「いつもと様子が違う」と感じたら、早めの相談が安心です。

上記の受診の目安は、Merck Veterinary Manual や AKC などの獣医学・公的情報をもとにした一般的な参考です。実際の判断は、その子の年齢や持病によっても変わります。

下痢のときの食事の基本

受診の目安に当てはまらず、元気もあって食事の調整で様子を見る場合の、一般的な考え方です。

少量を、回数を分けて

一度にたくさん与えると消化管に負担がかかりやすいため、1回の量を少なめにして回数を分ける「少量頻回」が一般的な目安とされています。いつもの1食を2〜3回に分けるイメージです。

絶食は自己判断で長く続けない

かつては半日〜1日の絶食がよく勧められていましたが、近年は体力の低下を避けるため早めに少量を与えたほうがよいとされる場面もあり、考え方は一律ではありません。とくに子犬・老犬・小型犬は絶食で体調を崩しやすいため、長時間食事を抜くのは避け、迷うときは獣医師に相談しましょう。

消化への負担が少ないものを

脂肪分の多い食事は消化に負担がかかりやすいとされます。下痢のあいだは、脂肪が控えめで消化のよいものが向くとされますが、何を与えるべきかは状態によって異なるため、続くときは受診時に相談するのが確実です。

水分をしっかりとれるように

下痢では水分が失われやすいため、新鮮な水をいつでも飲めるようにしておきます。水も飲まない、飲んでもすぐ吐くといったときは脱水が心配なので、受診を検討します。

飼い主

元気はあるのですが、軟便が2日ほど続いています。ご飯は抜いたほうがいいですか?

編集部

元気があって水も飲めているなら、無理に長く絶食させる必要はないとされています。1回の量を減らして回数を分け、消化にやさしいものを少しずつ与えてみてください。

2〜3日たっても良くならない、元気がなくなる、血が混じるといったときは、食事より受診を優先しましょう。

具体的に何をどう与えるかは、犬が下痢のときのご飯は?与え方の工夫でさらにくわしく整理しています。

落ち着いたあとのフードの見直し

下痢がくり返す、フードを切り替えるとお腹を壊しやすい——そんなときは、日常のフードそのものを見直す価値があります。下痢が落ち着いて元気も戻ったうえで、次のような視点でフードを選ぶと、消化への負担を抑えやすくなります。

フードを計量スプーンで量り、健康そうな犬に与えるイラスト
フードは質だけでなく、与える量もあわせて見直すと安心です。
見るポイント目安
たんぱく質の質消化のよい良質な動物性たんぱくが主原料か
脂肪の量高すぎないか(脂肪分が多いと負担になりやすい)
食物繊維お腹の調子を整える適度な繊維が含まれているか
添加物不要な着色料・香料などが少ないか
切り替えやすさ急に変えず、1週間ほどかけて移行できるか

フードを切り替えるときは、いまのフードに新しいフードを少しずつ混ぜ、便の状態を見ながら7日ほどかけて割合を増やしていくのが一般的な目安です。便がゆるくなるようなら、無理に進めず一段戻します。

飼い主

新しいフードに変えた翌日から下痢になりました。体に合わないのでしょうか?

編集部

急にフードが変わると、合う・合わない以前に、胃腸が慣れず一時的にゆるくなることがよくあります。まずは前のフードの割合を増やして落ち着かせ、1週間ほどかけてゆっくり移してみてください。

それでもくり返す、元気がない、血便が出るといったときは、切り替えをやめて受診をおすすめします。

なお、症状が続く犬向けの「療法食」は、原因に応じて獣医師の指導のもとで使うものです。このサイトでは扱っていません。気になる症状が続くときは、自己判断で療法食を選ぶのではなく、まず受診してください。

給餌量も見直す

与えすぎは、それ自体がお腹のゆるさにつながることがあります。体重・年齢・避妊去勢の有無から、1日の適正量の目安はその場で確認できます。フードを見直すついでに、いまの量が合っているかもチェックしてみてください。

よくある質問

下痢と食事について、よく寄せられる疑問をまとめました。いずれも一般的な目安であり、状態によって対応は変わります。迷うときは獣医師にご相談ください。