皮膚をかゆがる、軟便がくり返す、特定の食べもののあとに調子を崩す——そんなとき、食物アレルギーや、特定の原材料が合わない「不耐性」が気になることがあります。ここでは、食物アレルギーが心配な犬に向けた一般の低アレルゲンフードを選ぶときの目安と、候補となるフードの比べ方を整理します。
はじめにお伝えしておきたいのは、皮膚や消化の症状の原因は食べものだけではない、ということです。アトピーや感染、寄生虫など、食事と関係のない原因も少なくありません。フードを変えても変わらない・くり返すときは、フード選びの前にまず動物病院を受診してください。診断にもとづく食物アレルギー用の「療法食」は獣医師の指導のもとで使うもので、このサイトでは扱っていません。
「低アレルゲン」を選ぶときの4つの目安
低アレルゲンという言葉そのものに決まった基準があるわけではありません。商品名やうたい文句より、中身の原材料表示を見るのが手がかりになります。ただし、表示を見るだけではアレルギー反応の有無や交差混入まで判断できないことも覚えておいてください。次の4点が選ぶ際の参考になります。
1. その子が反応する原材料が入っていないか
犬の食物アレルギーでよく関係が指摘される原材料として、牛肉・乳製品・鶏・小麦・卵などが挙げられています。何に反応するかは個体差が大きいため、過去に調子を崩した食材に心当たりがあれば、それを避けられるフードかをまず確認します。ただし、おやつ・加工品・過去のフードに含まれる原材料も把握しないと、正確な絞り込みは難しくなります。
2. タンパク源が絞られているか(新奇タンパク・単一タンパク)
使われている動物性たんぱくの種類が少ないほど、合わない原材料を避けやすくなります。これまで食べたことのないタンパク源(ラム・魚・カンガルーなど、いわゆる新奇タンパク)に絞ったフードは、日常フードの選択肢の一つとして挙げられます。ただし、一般フードは製造ラインでの交差混入の可能性があるため、診断を目的とした獣医師管理下の「除去食試験」には使えません。症状が続く場合は、フード選びよりまず受診して相談してください。
3. 余計な原材料が少ないか
原材料の数が多いほど、どれが合わないのかが分かりにくくなります。着色料や香料など、嗜好性のためだけの添加物が少ないと、合う・合わないを追いやすくなるという考え方があります。ただし、添加物の有無と安全性は別の話です。添加物には保存・栄養補助・安定化など必要な役割もあり、環境省ペットフード安全法の基準に沿って使用されています。アレルギーの見極めには、添加物の整理より獣医師管理下の除去食試験が本来の手段です。
4. 主原料の質と、続けやすさ
低アレルゲンであっても、毎日の主食である以上、「総合栄養食」の表示があること・原材料表示の先頭に肉・魚などが来ること、そして無理なく続けられる価格・入手しやすさも大切です。
切り替えは、1種類ずつ・ゆっくり
合う食材を見極めたいときほど、いちどに何種類も変えないのがコツです。新しいフードに切り替えるときは、いまのフードに少しずつ混ぜ、便や皮膚の状態を見ながら7日ほどかけて割合を増やしていきます(一般的な目安であり、犬の状態により期間を調整してください)。複数を同時に変えると、何が良かった・悪かったのかが分からなくなります。変化があれば無理に進めず、記録を残して受診時に伝えると役立ちます。
ただし、血便・くり返す嘔吐・ぐったり・腹部膨満などの緊急サインが出た場合は、切り替えを中止して速やかに受診してください。とくに、吐こうとしているのに吐けない・空えずきをくり返す+お腹が張っているときは、胃拡張・胃捻転が疑われ、発症から短時間で命に関わります。夜間・休日でも救急対応の病院を探してください。嘔吐が24時間以上続く・水を受けつけないときや、子犬で下痢・嘔吐があるとき(脱水や低血糖で重症化しやすい)も、早めの受診を。「変化があれば様子を見る」はこれらの緊急症状には当てはまりません。
候補となる一般フードの比べ方
低アレルゲンに配慮した一般フードはいくつかあります。下の観点で横並びにすると、その子に合うものを選びやすくなります。
| 比べる観点 | 確認できること |
|---|---|
| タンパク源 | 種類が絞られているか。これまで合わなかった原材料・おやつ等を含め避けられるか |
| 原材料の構成 | 着色料・香料など嗜好性のためだけの添加物が少ないか(シンプルだと合う・合わないを追いやすい)。添加物の有無と安全性は別の話 |
| 穀物の扱い | 穀物に反応する子か、そうでないか(グレインフリーが必須とは限らない) |
| 主原料の表示 | 「総合栄養食」の表示があるか。原材料表示の先頭に肉・魚などが来るか |
| 続けやすさ | 少量から試せるか、毎日続けられる価格帯か |
4目安に当てはめた実例——ペロリコ アレカット
上の表を「絵空事にしない」ために、実際に流通しているフードを一つ当てはめてみます。ここではペロリコ アレカット(英国製、株式会社レティシアン取り扱い)を取り上げます。効果を保証するものではなく、選び方の目安をどう使うかを示す実例として読んでください。
目安1「その子が反応する原材料が入っていないか」 動物性タンパク源はターキーのみで構成されています(肉類全体47%:放し飼いターキー生肉33%・乾燥ターキー12%・ターキーグレイビー2%)。牛・豚・鶏・卵・牛乳・小麦・大豆・トウモロコシの8原材料は不使用とされています。ただし、これはあくまで「入っていない」という事実であり、その子に別の原材料への反応がなければ症状は出ないとは限りません。また、原材料に鶏は使われていませんが、ターキーは分類上ニワトリと近い種にあたるため、鶏の動物性タンパクに反応したことがある子では、本フードの主原料であるターキーにも交差反応が出る可能性があります。心当たりがある場合は、導入前にかかりつけの獣医師に相談してください。
目安2「タンパク源が絞られているか」 動物性タンパク源はターキー1種です。これまで食べたフードに鶏・牛・豚が含まれていた場合、ターキーは「食べたことのない新奇タンパク」にあたる可能性があります。ただし、一般フードは製造ラインでの交差混入の可能性を排除できないため、獣医師管理下の除去食試験の素材としては使えません。あくまで日常フードとしての選択肢です。
目安3「余計な原材料が少ないか」 穀物不使用(グレインフリー)で、炭水化物源はサツマイモ・アマニ・タピオカ。人工の香料・着色料は不使用とされています。製法として、酵素でタンパク質をペプチド・アミノ酸単位まで分解する「HDP加工」が用いられています。製法の特徴として記載しますが、これが特定の症状に対して効くことを意味するものではありません。
目安4「主原料の質と続けやすさ」 カロリーは353.5kcal/100g、タンパク質25%以上。容量2kg・全年齢対応の総合栄養食として流通しています。価格は変わることがあるため、最新は公式サイトでご確認ください。少量から試せるかどうかも購入先によって異なります。
このフードに変えたら、うちの子のかゆみに効きますか?
フードを変えることで「その子が反応していた原材料を避けられる」可能性はありますが、かゆみの原因は食物以外(アトピー・感染・寄生虫など)にある場合もあります。フードを変えても改善が見られない・症状がくり返す場合は、フード選びを続けるより動物病院で原因を確かめることをおすすめします。
なお、皮膚やアレルギーの症状が続く・はっきりしない場合、食物アレルギーの確認には獣医師の管理下での除去食試験が本来の手順です。一般フードでその試験を行うことはできません。動物病院で相談し、必要に応じて獣医師の管理下で除去食試験などの診断を受けてください。診断にもとづく療法食は、その指導のもとで使うものです。
あわせて、量も見直す
フードの内容と同じくらい、与える量も日々の調子に関わります。体重・年齢・避妊去勢の有無から1日の適正量の目安を、給餌量・カロリー計算ツールで確認してみてください。
皮膚のかゆみそのものと食事の関係は、犬の皮膚・かゆみと食事で整理しています。
参考にした主な情報源
- Merck Veterinary Manual(食物アレルギー・皮膚疾患の項)
- WSAVA(世界小動物獣医師会)グローバル栄養ガイドライン
本記事は一般的な情報であり、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続くときは、かかりつけの動物病院にご相談ください。
株式会社レティシアン(2011年創業)が手がけ、FEDIAFの基準を満たすイギリスの専門工場で製造しています。
- 動物性タンパク源はターキーのみ(肉類47%)。牛・豚・鶏・卵・牛乳・小麦・大豆・トウモロコシは不使用
- グレインフリー(穀物不使用)。炭水化物源にサツマイモ・アマニ・タピオカを使用
- 人工の香料・着色料は不使用。独自のHDP加工(タンパク質を酵素でペプチド・アミノ酸に分解する製法)を採用
内容量2kg/全犬種・全年齢/原産国イギリス。アレルギーの診断・管理を目的とした療法食ではありません。皮膚のかゆみや不調が続く・悪化するときは、フード選びの前に獣医師にご相談ください。価格・キャンペーンは公式サイトの最新情報をご確認ください。