症状から食事を見直す

犬の下痢に血が混じる|鮮血と黒い便の見分け方と、受診の目安

最終更新:2026年6月13日
犬の下痢に血が混じる|鮮血と黒い便の見分け方と、受診の目安のイメージ

うんちに赤いものが混じっていた、便が黒っぽくてどろっとしている——下痢に血が混じっていると、見た瞬間にどきっとしますよね。血便はそれだけで不安になるサインですが、血の色や量、そのときの元気さによって、急いで病院へ向かったほうがよいときと、落ち着いて様子を見られるときがあります。まずは「急ぐかどうか」の見極めから始めましょう。

まず、急いで受診を考えるとき

血便のなかには、時間をおかずに受診したほうがよいものがあります。次のような様子があるときは、食事の工夫で様子を見るより、動物病院への受診を優先してください。

🔴 すぐに受診(夜間でも救急へ)

  • 大量の血便が出る、便がほとんど血のように見える
  • 黒くタール状(ねっとりした黒い便、メレナ)が出る
  • 吐いたものに血が混じる(吐血)
  • 吐こうとしているのに吐けない・空えずきをくり返す+お腹が張っている(胃拡張・胃捻転のおそれ)
  • ぐったりして立てない、呼びかけへの反応が鈍い
  • 子犬がぐったり・震えている(とくにチワワなどの超小型犬。低血糖のおそれ)
  • チョコレート・キシリトール・ぶどう・玉ねぎなど、中毒のおそれがあるものを口にした可能性がある

🟠 できるだけ早く受診(迷うときは当日中に電話相談を)

  • 血便をくり返す、何度も下痢や嘔吐がある
  • 下痢や嘔吐が24時間以上続いている
  • 首の皮膚の戻りが遅い・目が落ちくぼむなど、脱水のサインがある
  • ワクチン未接種の子犬、持病のある犬、老犬

上記の受診の目安は、Merck Veterinary Manual など獣医学分野の一般的な参考にもとづいています。実際の判断は、その子の年齢や持病によっても変わります。判断に迷うときは、便の写真を撮ってかかりつけの動物病院に電話で相談してみてください。

これらの緊急サインがない場合も、血便は基本的に受診で原因を確かめるのが安心です。次の見分け方は、自己判断のためではなく、受診時に獣医師へ伝える手がかりとして役立ててください。

血便のタイプを見分ける

ひとくちに「血便」といっても、見え方はさまざまです。血の色と状態は、おなかのどのあたりで何が起きているかのヒントになることがあります。あくまで一般的な目安で、色や見た目だけで原因を決めることはできませんが、気づいたら受診時に伝えると役立ちます。

便の様子を確認し、スマートフォンで写真を撮って記録する飼い主のイラスト
血の色と状態、そのときの元気さをメモや写真で残しておくと、受診の判断や獣医師への説明に役立ちます。
血便の見え方一般に考えられること目安
赤い鮮血が表面につく・点々と混じる大腸など下部消化管への刺激にともなうことがある量の多少にかかわらず受診を検討(子犬・老犬・持病のある子はとくに早めに)
ゼリー状の粘液に血が少し混じる大腸の炎症にともなって見られることがある受診を検討。くり返す・量が増えるときは早めに
黒くタール状(メレナ)上部消化管からの出血が消化された可能性急いで受診(注意したい便)
便全体が血のように赤い・大量出血量が多い状態のことがある急いで受診

赤い鮮血は、便の表面についていたり、しずくのように混じっていたりすることが多いとされます。一方、黒くタール状の便(メレナと呼ばれます)は、胃や小腸など上のほうからの出血が腸を通るうちに黒く変化したと考えられることがあり、見た目以上に注意したい便とされています。色が黒いと「血」と気づきにくいので、いつもより黒くてどろっとしていたら、受診時に伝えてください。

飼い主

散歩のあとのうんちの表面に、赤い血がうっすらついていました。元気はあって、ごはんも食べています。

編集部

便の表面につく少量の鮮血は、大腸への一時的な刺激にともなって見られることがあるとされます。ただ、血がついていたら、元気でも基本は受診で原因を確かめるのが安心です。一度きりで元気・食欲もあるなら、便の写真を撮って、その日のうちにかかりつけへ電話で相談してみてください。

くり返す・量が増える・黒い便になる・元気がなくなるといったときや、子犬・老犬・持病のある子は、待たず受診してください。

血便のときに考えられること

血便の背景は、日常で起きやすいものから、受診で確かめたほうがよいものまでさまざまです。よく挙げられるものを一般的なものとして整理します。いずれも見た目だけでは区別できないため、原因の特定は受診でおこないます。

  • 食事の急な変化・拾い食い:フードの切り替えや、消化に合わないものを口にしたあとに、腸が刺激されることがあります
  • 大腸の炎症(大腸炎):ゼリー状の粘液に鮮血が混じるかたちで見られることがあるとされます
  • 寄生虫・感染症:とくに子犬や、ワクチン未接種の犬、他の犬との接触後に注意したいとされます
  • 誤食・中毒:異物や、犬に有害な食べもの(玉ねぎ・チョコレート・ぶどうなど)
  • 急性出血性下痢症候群(AHDS):突然の血便と嘔吐をともない、急に状態が悪くなることがあるとされ、早急な受診が必要です
  • 消化管や全身の病気のサイン:消化器の病気や、ほかの不調にともなって血便が見られることもあります

このなかには、子犬で重くなりやすい感染症(パルボウイルス腸炎など)や、急に進む出血性の胃腸炎のように、時間が勝負になるものも含まれます。だからこそ、血便は「色で原因を見分けて自己対応する」よりも、受診で原因を確かめることを基本に考えてください。

パルボウイルス感染症などの感染性の病気は、とくにワクチン接種が済んでいない子犬で重くなりやすいとされています。子犬の血便・嘔吐・ぐったりは、様子を見ずに受診してください。

受診のとき、伝えるとよいこと

血便は時間がたつと色や状態が変わってしまいます。気づいた時点で次の点を控えておくと、診察がスムーズになります。

  • 便の写真(できれば実物も持参)
  • いつから・何回出たか、だんだん増えているか
  • 嘔吐や食欲不振、元気のなさがあるか
  • 最近フードやおやつを変えたか、拾い食い・誤食の可能性
  • 飲んでいる薬や持病、ワクチンの接種状況

落ち着いたあとの食事の見直し

受診で大きな問題がないと確認できたあとや、症状が落ち着いてきたあとは、消化への負担を減らす食事の工夫が参考になります。1回の量を減らして回数を分ける(少量頻回)、脂肪が控えめで消化のよいものを選ぶ、新鮮な水をいつでも飲めるようにする、といった基本は、ふつうの下痢のときと共通です。

具体的な与え方は犬が下痢のときのご飯は?与え方の工夫で、下痢全体の見方と食事の基本は犬の下痢・軟便と食事で、それぞれくわしく整理しています。

下痢や血便をくり返すときは、まず受診で原因(慢性の病気や感染など)を確かめるのが先です。そのうえで異常がなく、フードを切り替えるとお腹を崩しやすいという場合は、日常のフードを消化にやさしいものへ見直す価値があります。あわせて、いまの給餌量が体に合っているかも確認してみてください。与えすぎが、お腹のゆるさにつながっていることもあります。

なお、症状が続く犬向けの「療法食」は、原因に応じて獣医師の指導のもとで使うものです。このサイトでは扱っていません。血便がくり返す・続くときは、自己判断でフードを選ぶのではなく、まず受診してください。

よくある質問

犬の下痢と血便について、よく寄せられる疑問をまとめました。いずれも一般的な目安で、状態によって対応は変わります。迷うときは獣医師にご相談ください。


参考にした主な情報源

  • Merck Veterinary Manual(消化器疾患・急性出血性下痢症候群の項)
  • WSAVA(世界小動物獣医師会)グローバル栄養ガイドライン

本記事は一般的な情報であり、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続くときは、かかりつけの動物病院にご相談ください。