元気に見えても、7歳を過ぎたあたりから犬の体は少しずつ変化していきます。噛む力が落ちてきた、残すようになった、体型が変わってきた——そんな気づきをきっかけにフードの見直しを考えているなら、「シニア用」表示があるかどうかより先に確認すべき観点があります。
まず大切なのが、今のその子の状態です。ぐったりして動けない、何度も吐こうとするのに出ない(空えずき)とお腹が張っている、繰り返し吐く、血便が出る——こうした様子は緊急性が高く、フードのことより先に、すぐ動物病院を受診してください。また、嘔吐や下痢が24時間以上続く、食欲が1日以上ない、体重が急に落ちている場合も、早めの受診を。加齢とともに持病が出やすくなる時期でもあります。持病がある、または疑われるときは、フード選びもかかりつけ獣医師の指示を優先してください。ここで扱うのは健康なシニア犬の日常フードで、腎臓病・肝臓病などに対応する「療法食」は対象外です。
加齢で実際に変わること——4つの視点
フード選びの前に、シニア犬の体で何が変わるかを整理します。「加齢=すべて衰える」ではなく、変化の内容と方向を知っておくと、フードに求める条件が絞れます。
1. カロリー需要は落ちるが、タンパク質は削りにくい
加齢で基礎代謝が落ち、同じ量を食べ続けると太りやすくなる犬がいます。一方、筋肉量の維持にはタンパク質が引き続き必要で、「カロリーを下げるためにタンパク質も削る」設計が必ずしもシニアの体に合うとは限りません(WSAVA グローバル栄養ガイドライン(2011年版)でも、健康なシニア犬に対するタンパク質制限は一律には推奨されていません。ただし腎臓に問題がある場合は別途獣医師の判断が必要です)。
肥満傾向か、痩せ傾向か、筋肉量が落ちているか——それによって「カロリーを抑えるべきか、しっかり食べさせるべきか」の方向は変わります。体重と体型(肋骨を触って脂肪の厚みがわかるか)を定期的に確認することが、量の調整の出発点です。
2. 噛む力・歯の状態
歯周病は犬に非常に多く、Merck Veterinary Manual では2歳までに犬の最大80%に何らかの歯周疾患が認められると記されています。加齢とともに進行しやすく、痛みで食べにくくなることがあります。粒が大きすぎる・硬すぎると食べ残しや丸のみにつながりやすく、噛む力が落ちてきたシニアほど「粒の大きさ・硬さ」はフード選びの実際の影響度が大きい観点です。
ぬるま湯でふやかすことで粒をやわらかくできるか(ふやかしたときの食いつきや消化への影響)も、続けやすさに関わります。歯周病やその疑いがある場合は、フードの変更だけでなく歯科的な処置を獣医師に相談してください。
3. 嗜好性の低下・食べムラ
嗅覚は加齢とともに変化し、香りを感じにくくなることが食欲の落ちやすさにつながることがあります。同じフードでも、ふやかして香りを立てるだけで食いつきが変わる子がいます。食べムラが出てきたときに最初に試す工夫として覚えておくと役立ちます。
急に食べなくなった・体重が意図せず落ちてきたという場合は、フードの工夫だけで対応せず受診して原因を確かめてください。シニア犬の食欲低下には、口腔内のトラブル・内臓疾患・痛みなど、食事の工夫では対応できない理由が隠れることがあります。食欲の落ちているシニア犬への食事の工夫は、犬の食欲不振と食事でも整理しています。
4. 消化機能の変化
消化酵素の分泌や腸内環境の変化により、同じフードでもお腹がゆるくなりやすくなる子がいます。消化しやすい原材料・製法のフードかどうかは、便の状態(形がある・ゆるくない)を見ながら確かめるのが現実的です。消化が落ちてきた子向けの選び方は、消化に良いドッグフードの選び方でもまとめています。
「シニア用」表示だけで選ばない——確認すべき3点
「シニア用」「高齢犬用」の表示に法的・業界統一の定義はなく、何歳からをシニアと定義するか、成分設計を何に合わせているかはメーカーごとに異なります。表示より先に、以下を確認してください。
「総合栄養食」と記載されているか。この表示は、ペットフード公正取引協議会の公正競争規約の基準をクリアしたことを意味し、主食として与えられる栄養バランスを示す指標になります(基準を定めているのは主にペットフード公正取引協議会で、ペットフード安全法でも表示が義務づけられています)。「一般食」「おかず」「おやつ」は主食になりません。
公式の給与量が体重別に示されているか。現在の体重に対して1日の量がわかるかを確認し、それが今の体型・活動量と合っているかを見ます。
原材料の先頭に何が来るか。原材料は重量順に記載されます。先頭に肉・魚などの動物性タンパク質が来るかが一つの手がかりです。ただし、原材料表示だけで消化性や品質を確定することはできません。
候補フードを比べるときの目安
以下の観点を横並びにすると、選びやすくなります。
| 比べる観点 | シニアで確認すること |
|---|---|
| カロリー設計 | 現在の体型・活動量に対して過剰・不足にならないか。総カロリーとタンパク質量のバランス |
| 粒の大きさ・硬さ | 噛む力が落ちてきた場合に食べやすいか。ふやかしやすいか |
| 嗜好性 | ふやかしたときに香りが立つか。少量試して食いつきを確かめられるか |
| 消化しやすさ | 便が安定しているか(試してみて確かめるのが現実的) |
| 総合栄養食の表示 | 主食として与えられる基準をクリアしているか |
| 続けやすさ | 毎日続けられる価格帯か。少量から試せるか |
上の観点で見たときの一例となるフードを記事末でご紹介しています。ただし合う・合わないには個体差があるため、いくつかを見比べ、少量から試してその子の便や食いつきを確かめてから選んでください。
10歳になってからフードをあまり食べなくなりました。シニア用に変えたほうがいいですか?
食べる量が落ちてきたとき、まず確かめたいのは「体重や体型が変化していないか」「口や歯に痛みがないか」「元気はあるか」の3点です。シニア用に変えることで解決することもありますが、口腔トラブルや体の不調が原因のこともあります。
急な体重減少・元気のなさ・嘔吐や下痢がともなうときは、フードを変える前に受診を。元気があって食いつきが落ちてきた程度なら、ぬるま湯でふやかして香りを立てる工夫や、粒の小さなフードへの切り替えが食べやすさの改善につながることがあります。
切り替えは、1週間かけてゆっくり
シニア犬は消化への負担を受けやすいため、急な切り替えは下痢・嘔吐のリスクが高まります。いまのフードに新しいフードを少量ずつ混ぜ、便や食いつきを見ながら7日ほどかけて割合を増やすのが一般的な目安です(犬の状態や消化の敏感さによって期間を延ばしてください)。
便がゆるくなるようなら無理に進めず一段戻します。血便・くり返す嘔吐・ぐったりなどがある場合は、切り替え調整だけで様子を見ず受診してください。とくにシニア犬で持病がある子や、急に体力が落ちてきた子は、便の変化が見えた段階で早めに受診を判断してください。
小型のシニア犬は、小型犬向けの観点もあわせて
小型犬のシニアは、加齢の変化に加えて「少量でも栄養を満たせるか」「粒が口に合うか」という小型犬特有の視点も残ります。小型犬のドッグフードの選び方もあわせて参照してください。
量もあわせて見直す
フードの種類だけでなく、1日の給与量がシニアになった今の体重・活動量に合っているかも確認します。与えすぎは肥満・お腹のゆるさにつながり、足りなければ筋肉量の低下・体重減少につながります。
体重・年齢から1日の適正量の目安を、給餌量・カロリー計算ツールで確認してみてください。
参考にした主な情報源
- Merck Veterinary Manual「Periodontal Disease in Small Animals」(歯科疾患の項、merckvetmanual.com)
- WSAVA(世界小動物獣医師会)グローバル栄養ガイドライン(2011年版、wsava.org)
- ペットフード公正取引協議会 公正競争規約(総合栄養食の表示基準、pffta.org)/ペットフード安全法
本記事は一般的な情報であり、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続くとき、持病のある子のフード選びについては、かかりつけの動物病院にご相談ください。
株式会社レティシアン(2011年創業)が輸入・販売するモグワンのシニア犬向けです。イギリスの工場で生産し、FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)のガイドラインに基づいています。
- 主原料はチキンとサーモン(放し飼いチキン・生サーモン)。全犬種・7歳からのシニア期向け
- グレインフリー(穀物不使用)
- 香料・着色料は不使用
全犬種・7歳からのシニア犬向け総合栄養食(内容量1.5kg・原産国イギリス)。症状の治療や管理を目的とした療法食ではありません。気になる症状が続く・悪化するときは、フード選びの前に獣医師にご相談ください。価格・キャンペーン・保証成分値は公式サイトの最新情報をご確認ください。